くらしの足をみんなで考える全国フォーラム2018

「くらしの足をみんなで考える全国フォーラム2018」が、2018年10月27日(土)、28日(日)の2日間にわたって開催されました。

※各セッションの発表資料を公開しています こちら→2018発表資料

 

開催7回目の本フォーラムにご参加いただいた方は、北海道から沖縄まで、380 名にのぼりました。改めて、ご参加いただき、ありがとうございました。

10月27日(土):フォーラム1日目を終えたあとの懇親会から

(写真提供:バス停写真家 柴田 秀一郎さん)

 

◆日時: 

2018年10月27日(土) 13:30 ~17:30

(懇親会:18:00~19:30)

2018年10月28日(日) 9:30~16:30

 

◆場所:

東洋大学白山キャンパス

(東京都文京区白山 5-28-20)

 

 

 

 ◆主催: くらしの足をみんなで考える全国フォーラム実行委員会

・実行委員長:岡村 敏之(東洋大学国際学部教授)

・副実行委員長:加藤 博和(名古屋大学大学院環境学研究科教授)

 

◆共催: (公財)交通エコロジー・モビリティ財団

 

◆後援: 国土交通省、厚生労働省、(社福)全国社会福祉協議会、東洋大学国際共生社会研究センター、名古屋大学大学院環境学研究科附属持続的共発展教育研究センター、(一社)日本民営鉄道協会、(公社)日本バス協会、(一社)全国ハイヤー・タクシー連合会、(一社)全国個人タクシー協会、(一財)全国福祉輸送サービス協会、全国交通運輸労働組合総連合、日本私鉄労働組合総連合会、全国自動車交通労働組合連合会、(一社)全国子育てタクシー協会、(特非)市民福祉団体全国協議会、(特非)DPI 日本会議、(特非)全国移動サービスネットワーク

 

◆協力: 東洋大学

 

◆メディアパートナー:(株)東京交通新聞社

 

 

【1】「くらしの足をみんなで考える全国フォーラム2018」の開催にあたって

 

■くらしの足をみんなで考える全国フォーラムとは? 

少子高齢化が進む中で、日常の通院や買い物等に困難を抱える人々が全国で増え続けています。

このくらしの足の問題を解決するために、当事者、行政職員、研究者、バス・タクシー事業者、福祉・介護・医療の従事者、NPOなど、多くの関係者が集まり、地域を越え、立場を越え、利用者・生活者の目線をベースとして本音で語り合い、お互いを知り合い、それぞれが抱える問題解決のヒントを得る「気づき」の場として、本フォーラムを開催しています。 

 

くらしの足をみんなで考える全国フォーラム2018の開催にあたって

 

このフォーラムも回を重ね、今年で7回目となりました。人口減少や少子高齢化が進む中で、日常の生活での様々な移動に困難を抱えることで、地域社会から取り残されかねない人々が全国にいます。また、人々の移動を支える担い手の側も、交通業界・地域社会ともに厳しい状況になりつつあります。このフォーラムは、これらの「くらしの足」の問題を受けとめ、それをみんなで解決していくことを目指しています。

 

今年のフォーラムの副題は、本音で語り合おう、知り合おう、そしておでかけを楽しくしよう! です。

 

副題の前半の「語り合おう、知り合おう」はこのフォーラムの根幹で、このメッセージをこの数年間かかげています。今年のフォーラムでも、全国の異なる地域で同じような課題を抱える関係者どうしで、ぜひ交流をしていただいて、それぞれが抱える問題解決のヒントを得る「気づき」の場として、この場を積極的に活用してください。

加えて今年は、副題の最後を「お出かけを楽しくしよう!」としています。我々が目指す目標は、単にくらしの足の提供することに留まるものではなく、また通院や買い物、役所への所用など「行かなければならない外出」への支援だけでもないはずです。「くらしの足」は、外出の必要に迫られている人の最低限の手段であるだけでなく、生活の質を上げるための重要な「手段」でもあります。人々が気軽に外出できることを通して、全てのひとがさまざまな日常の生活活動を行うことができること、それによって「行きたい外出」すなわち

「楽しいお出かけ」ができること、が本当の目標と考えています。

 

実行委員長 岡村 敏之(東洋大学国際学部教授)(配布資料より、抜粋)

【2】開催報告(ダイジェスト)

 

■第1日目:10月27日(土)

開会、趣旨・進行説明、くらしの足 概論&ディスカッション、

グループディスカッション、懇親会(希望者のみ)

1日目受付風景

 

◆開会:挨拶 実行委員長 岡村 敏之氏(東洋大学国際学部教授)

(左)開会の挨拶をする、岡村 敏之実行委員長(東洋大学国際学部教授)

(右)全体の進行を説明する、全体司会・大野 悠貴実行委員(名古屋大学大学院研究員)

 

開会のご挨拶では、岡村 敏之実行委員長より今年度のフォーラムのテーマである「本音で語り合おう、知り合おう、そしておでかけを楽しくしよう!」について説明があったほか、ご参加の皆様に「全員参加で楽しく交流し、話し合いたい」と呼びかけさせていただきました。

 

◆くらしの足 概論・ディスカッシヨン

   ─「生活を支える交通」から「愉しみ」の交通へ─

高齢者が健康で生きがいを持って暮らすためには「生活を支える交通」だけではなく、「愉しみ」が必要… という視点で、「愉しみの交通」とは何か? を考えました。

 

◇くらしの足 概論 基調講演:誰がつくる? 外出の拡大。

                                       「生活を支える交通」から「愉しみの交通」へ

   講師:土井 勉氏

      (大阪大学COデザインセンター特任教授、(一社)グローカル交流推進機構理事長) 

「交通の意義と役割」「公共交通の現状」などが示された後、2017年の「内閣府世論調査」の中から「利便性が向上すると4割の人たちは外出回数が増える」という回答が紹介されました。

今後、どのような交通が増える可能性があるかについては、高齢者の免許の有無と交通の潜在化(生活に不可欠な通院・買い物は顕在化しやすく、「愉しみの活動」が潜在化する)の関係、さらに人間にとっていかに「愉しみの活動」が重要であるかが話されました。

また、「愉しみの活動」のための「愉しみの交通」が顕在化することによって、公共交通の利用者が増えるであろうこと。公共交通のサービスが充実することが利用促進につながっていき、地域を変える→まちづくりにつながることなどが述べられました。

そして、“素敵なまちづくり”には、「場」づくり・意見・実現・共有が必要であり、このような一連の取り組みを可視化・共有することが大切であると結ばれました。

 

◇ディスカッション

基調講演に続くディスカッションでは、外出の目的は通院だけではなく「歳をとっても楽しいおでかけをあきらめないための交通まちづくりを!」という視点で、3氏が登壇されました。

【登壇者】

・土井 勉氏(大阪大学COデザインセンター特任教授、

  (一社)グローカル交流推進機構理事長)

・服部 真治氏

(医療経済研究機構研究部主任研究員兼研究総務部次長)

・篠塚 恭一氏(NPO法人日本トラベルヘルパー協会理事長、(株)SPIあ・える倶楽部代表取締役)

 

【コーディネーター】

及川 孝実行委員((有)フタバタクシー社長、(一社)全国子育てタクシー協会相談役)

(左から)コーディネーターの及川実行委員、ご登壇の土井氏、服部氏、篠塚氏

 

はじめに「介護保険制度」、「地域包括ケアシステム」を研究されている服部氏が、「『互助』による輸送と地域支援事業」をテーマに話されました。

高齢者の移動手段確保に関するデータや制度について説明された後、「生活支援・介護予防サービスの充実と高齢者の社会参加」や「地域包括ケアシステムの構築」について述べ、さらに、人との交流が少ない高齢者と健康リスクとの関係を指摘。そして「サロン」参加群と要介護認定率の低さを表すデータ(2007年から2012年までの5年間で、要介護認定率が約半分に抑制)等を通じて、高齢者の「足」に注目しました。

 

他には2015年の法改正(介護予防事業の体系)による介護保険と「足」の支援の関係や、創意工夫に満ちた社会福祉法人の「地域における公益的な取り組み」などが紹介されました。

 

次に、篠塚氏が実践事例をあげながら、(高齢者の)「死ぬまでに行きたいと思っていたところへ行く」、「大事な人との思い出を辿る旅に出たかった」等々の想いを大切にしたサポートをご紹介されました。

福祉用具や福祉機器、何よりもからだの不自由な高齢者の想いを理解するご家族とトラベルヘルパー(外出支援専門員)の支えを中心にした「おでかけ」のエピソードの数々に、参加者がうなずく様子が見られました。

 

続く「討論」は、全員がご発言。コーディネーターの及川実行委員が「愉しみ」の定義を確認すると、土井特任教授が「人と交流すること」の大事さを述べ、「厚生労働省の施策と愉しみの交通との組み合わせ」について触れました。

服部氏は「地域に楽しいことをつくらないと健康につながらない」、「まだまだできる! という自信が大事」等々、「お出かけ」、「交通」との関係性を強調し、篠塚氏は、「自分が行きたいときに行けるためには、お金の問題や、誰が担うかが重要な問題」と述べ、最後に各氏が「共有」というキーワードを軸にして交通のみならず「何ができるか」、「皆で共有して、明るく楽しくやりたい」と話されました。 

 

 

◆グループディスカッション

   ─「くらしの足」について、本音で意見交換しよう!─

他地域の成功例・失敗例を参考にしながら「なんとかしたい!」という想いを共有し、課題を話し合う参加型のディスカッションが行われました。

6部屋、28のグループ(1グループ、1~9人)に分かれて、くらしの足に関する悩みや「愉しみの交通」について意見交換。その後、集まった意見を紙に書きだし、各グループの代表者2名が発表して、想いや課題を共有しました。 

 

◆懇親会

1日目のプログラム終了後、懇親会が開催されました(東洋大学白山キャンパス・6号館地下1階学生食堂)。

 

1年ぶりの再会、グループディスカッションでの新たな出逢いなど交流が続くなか、鎌田 実前実行委員長(現顧問、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)のご挨拶、参加された来賓の皆様からのご挨拶がありました。

また、本フォーラムのメディアパートナーである東京交通新聞 前社長の故・武本 英之実行委員に向けて、会場の皆様が追悼の意を表しました。 

 

 

■第2日目:10月28日(日)

趣旨・進行説明、ショートスピーチ 、基調講演・ディスカッション、

ポスターセッションPRタイム&ポスターセッション、オープン・カンファレンス、

白熱討論、閉会

2日目受付風景と開会直前の会場

 

◆2日目 開会:挨拶 実行委員長 岡村 敏之氏(東洋大学国際学部教授)

(左)岡村 敏之実行委員長(東洋大学国際学部教授)

(右)全体司会・大野 悠貴実行委員(名古屋大学大学院研究員)

 

◆ショートスピーチ:「地域公共交通の活性化及び再生に向けた国土交通省の取組」

           城福 健陽氏(国土交通省総合政策局公共交通政策部長)

2日目のプログラムのトップは、城福 健陽氏(国土交通省総合政策局公共交通政策部長)による「ショートスピーチ」でした。

 

城福氏は大きく、1.地域公共交通の活性化及び再生に向けた取組、2.高齢者の移動手段の確保、3.新しいモビリティサービス について説明されました。また、地域公共交通協働トライアル推進事業(新規。地域公共交通確保維持改善事業に追加)、高齢運転者による交通事故防止対策等を紹介されたほか、AI、自動運転などの技術革新について触れ、「共生の観点」というキーワードを述べられました。

そして、MaaS(Mobility as a Service. 移動を単なる手段としてでなく、利用者にとっての一元的なサービスとしてとらえる概念)、新モビリティ・サービス推進事業等の新しい動きを紹介された後、「全国のあらゆる地域、あらゆる皆さんに活用していただく仕組み、枠をつくっていきたい」、「地域だけでなく全国で使える日本版MaaSを考えている」と力強く結ばれました。

 

◆くらしの足 基調討論

   ─ITは「くらしの足」を救う?─ 

ショートスピーチに続いて行われた「基調討論」は、加藤 博和副実行委員長(名古屋大学大学院環境学研究科教授)と伊藤 昌毅実行委員(東京大学生産技術研究所助教)がコーディネーターを務めました。

 

「「自動運転」、「MaaS」、「AI」…交通業界で仕事をしていると、これらのキーワードを耳にしない日はありません。交通事業者の仕事を奪う黒船か、はたまた強力な助っ人なのでしょうか…?」(配布資料より)と参加者へ投げかけられたプログラムは、ふたつの「事例紹介」から開始しました。

 

◇事例紹介(1):GTFSデータを構築したバス会社の実践例 

講師:水野 羊平氏(永井運輸株式会社バス事業部)

はじめに登壇されたのは、永井運輸(株)バス事業部(前橋市)の水野 羊平氏です。

水野氏は路線バスの「現場運行管理業務」担当者として経験された、GTFS(General Transit Feed Specification. 公共交通機関の時刻表と地理的情報に使用される共通形式の定義でオープン化されている)との出会い(群馬県県土整備部交通政策課の「公共交通情報のオープンデータ化」事業)を中心に話されました。

その後話された勉強会、入力作業、Googleマップ掲載等々までの経緯や活用と実践例(イベント開催時の混雑を事前情報としてご利用者に発信)に、会場から拍手がおくられるシーンもありました。

◇事例紹介(2):ITとくらしの足についての考察

講師:山崎 友寛氏(静岡県交通基盤部都市局地域交通課主査)

次に登壇された静岡県交通基盤部都市局地域交通課の山崎主査は、「伊豆地域の公共交通網形成計画」(平成29年度策定)について説明されました。また「順天堂直通バス」の実証実験やその目的(実態把握と利用者ニーズ)、車内アンケートについて話され、地域住民の移動支援の主役が高齢者であること、地域住民の快適性を目指していくことなどを述べました。

また「自動運転システムは、地域移動の課題を解決する手段となるのか?」という投げかけや、シェアリングが進むと一般の人も福祉バスなどを利用できるようになる可能性について触れられました。

 

◇ディスカッション

【登壇者】

・水野 羊平氏(永井運輸(株)バス事業部)

・山崎 友寛氏(静岡県交通基盤部都市局地域交通課主査)

 

【コーディネーター】

・加藤 博和副実行委員長

(名古屋大学大学院環境学研究科教授、地域公共交通プロデューサー)

・伊藤 昌毅実行委員(東京大学生産技術研究所助教)

 

続いて本フォーラム実行委員会から加藤教授、伊藤助教が登壇、熱いディスカッションを交わしていただきました。

(左)加藤 博和副実行委員長(名古屋大学大学院環境学研究科教授)

(右)伊藤 昌毅実行委員(東京大学生産技術研究所助教)

 

伊藤助教は、青森市営バスがコミュニティのサポートにより自力でデータ整備を実現した事例をご紹介。「事業者の想い・熱意+ITツールの機能が、新しい案内方法を続々と発明する」と話されました。そしてGoogleにGTFSデータを提供すると検索の統計情報が得られるようになり、公共交通に対する需要を把握できることや、全国で展開されている「標準的なバス情報フォーマットによる公共交通オープンデータの推進」に触れました。

「ITはくらしの足を救う? ITこそが地域交通を救うに決まっている。ただし、ITの特長やメリットに真正面から向き合った時に」、「「世界の関心はMaaSなどのITの交通、移動に関するサービスに注がれているが、日本は地に足のついた事業者の「(ITで)何かできるのでは?」という想いが「くらしの足」を救う」と発言されました。

 

加藤教授は、「不便」と「不安」の関係を指摘。「本当に不便な場合は別だが、知られていない、使い方がわからない場合は、わかるようにすることが重要。「乗り方教室」の開催や「検索システム」が有効である」と述べました。また、「モビリティマネジメントで公共交通利用は増やせるか?」、「バスマップで公共交通はわかりやすくなるか?」 等々を参加者に問いかけ、「大事なものは何か? ITの前にしておくことや見直したいことがある」、「(MaaS等の)黒船のあとは明治維新。公共交通の維新を起こしたい」と話され、熱気に満ちた「基調討論」が終了しました。 

 

◆取り組み紹介(ポスターセッション)

 

◇ポスターセッション・PRタイム(11:30-12:00)

本フォーラム2日目の目玉でもあるプログラム「ポスターセッション」のために、全国各地から58の企業や団体が集いました。

昨年同様、吉田 樹実行委員(福島大学准教授)の進行のもと、「ポスターセッション」展示者から自己紹介とポスターについて熱いアピールが行われました。

 

 

◇ポスターセッション(12:50-14:30)

─くらしの足のために日夜がんばっているみんなの活動報告─

 

地域住民、事業者、研究者、自治体、企業などが活動内容やサービスの紹介を発表するポスターセッション。

今年は、全国各地から58の企業・団体が6部屋に分かれて、活動内容やサービスの紹介などの発表を行いました。

直接、展示者と参加者が意見交換できる機会とあって、すれ違うのが難しいほどの賑わいを見せるコーナーもありました。 

 

◆オープン・カンファレンス

本フォーラム初めての試みである「オープン・カンファレンス」は、お昼の休憩時間を使って行われました。

「オープン・カンファレンス」は議論したいこと、相談したいことを持って参加される方のために、テーマを出し合い、話し合う場です。

初回ということもあり、実行委員会からは3つのテーマを出させていただきました。

(下記枠内のA、B、C)

他のテーマは、当日朝の入場時に呼びかけさせていただき、企画としてお出しいただいたものです。

 

オープン・カンファレンスの説明をする吉田 樹実行委員(福島大学准教授) 

 

A:  求む!地域公共交通プロデューサー

B:  公共交通オープンデータ

  ・合流テーマ「交通・運輸行政の近代化」

C:  公共交通と福祉─福祉の制度を使いこなす

D:  たのしいバス停

E:  公共交通利用における利用者の心理

F:  ゆめ旅KAIGO ! 2020─学生の視点から見えるモビリティ

G:  自治体が公共交通に責任を持つ(持てる)ようになるには


 

ご参加くださった方からは「ありがたい試み。参加者の人とも話したかったので、あと30分ほど(時間が)ほしい」という声をいただきました。昼食をとりながらのあわただしさのなか、ご参加くださった皆様、ありがとうございます。 

 

◆くらしの足 白熱討論

   ─「愉しみのための交通」をどう創っていくか─

「行かなければならない外出」だけではなく 「生活の質向上のための移動」とは?

高齢者の免許返納なども念頭におきながら、2日間のフォーラムをさまざまな立場の登壇者が熱く語り合いました。 

【討論者】

・鎌田 実 実行委員会顧問(前実行委員長、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)

・新井 啓明実行委員

(東京都小平市企画政策部秘書広報課長補佐兼広報)

・篠原 俊正実行委員

((株)ハートフルタクシー取締役副社長)

 

【コーディネーター】

・岡村 敏之実行委員長(東洋大学国際学部教授)

(左から)篠原氏、新井氏、鎌田氏、コーディネーター・岡村氏

 

まず2日間の振り返りとして、コーディネーターの岡村実行委員長からフォーラムで話題となった5点、「「移動」と「健康」の橋渡し→愉しみ」、「共有を楽しく」、「移動環境を整えるとともに気持ちを高めていく」、「ITで変えられること、変えられないこと」、「ITとの相性」があげられました。

そして各人の自己紹介と話題提供として、鎌田教授が高齢者の運転免許返納と認知症の関係や、まちづくりプロジェクトに関わっていらっしゃる「輪島KABULET(カブーレ)」(石川県輪島市)における地域活性化の事例を紹介されました。

 

続く新井氏は、小平市の市内定時路線・定額制のコミュニティタクシーと「コミュニティタクシーを考える会」(地域住民等)の関係、コミュニティタクシーの運行から生まれた数々の「楽しい」エピソードを話されました。

 

篠原氏は、「ハートフルタクシー」創立の際に「徹底的に地域貢献を目指す。特に高齢者の方にタクシーを使って楽しんでほしい」と決心されたことを話され、サービスのために女性ドライバー(ママさんドライバー)を増やしてきたこと、女性ドライバー定着の工夫等を話されました。

 

次に岡村実行委員長から「白熱討論」のトピックとして、「車に頼ってきた高齢者が楽しく外出するには?」、「「足」(とIT)は「くらし」を救うか?」、「楽しくお出かけしたくなる街(社会)となるには?」という3点が提供されました。

 

はじめに新井氏が小平市の地形と車を利用する人の関係に触れ、「10年位前まで都営住宅の駐車場はほとんど埋まっていたが、今は場所によって半分しか埋まっていない。出かける方法が変わったのではないか?」と述べました。また、「コミュニティタクシーの運行があるから、停留所まで歩く癖がついた。出かけるのが楽しくなった」という住民の声を紹介されました。

篠原氏は「楽しみがあるまちづくり」を自治体と共に行う意義を強調され、市が開催する予防介護事業の参加希望者の「足」を「タクシー」でサポートした成功例を話されました。ほかに、ご自身のご家族のエピソードをまじえながら、「将来的にはAIにニーズを予測してもらって、通院を促したり、温泉など楽しみのための外出を促してもらえたらいい」と高齢者を家族に持つお立場から希望を述べられました。

最後に鎌田教授が、移動を確保したら外出するようになっただけでなく化粧をするなど、「生活の質」向上につながった東日本大震災後の支援を紹介。また、「まちをコンパクトにすることが「移動」、「おでかけ」しやすいことにつながる」と話されました。

 

そして、おでかけしたくなるまちづくりについて篠原氏は「健康になること」が重要と述べ、買い物や美容院などの「行かなければならない外出ではない外出=おでかけ」を繰り返すことから、みるみる健康になっていく事例が多い」と報告されました。

新井氏は、「色々な人が交わること、人と人が関わることが大事。コミュニティタクシーの中で乗り合うことで関わりが生まれる」と話され、会話する・しない、交流する・しないも含めての「社交」がこれからのまちづくりで大切と述べました。

そのご発言を受けて岡村実行委員長が、「交流することを自分自身で決められること、自己決定感があることが重要。愉しい(楽しい)というと“きれいごと”と思われがちだが、本来あるべきこと、あるべき姿が“きれいごと”。楽しいこと、きれいごとを目標に」と呼びかけました。 

最後に鎌田教授が「輪島KABULET(カブーレ)」での移動のための電動ゴルフカート利用事例に触れ、「カートを使って自由に動くことができれば、行きたい店数軒に行けて、地域が活性化する。本人も会話ができ、楽しくなって健康寿命が伸びていく」と話されました。

さらに、「日本人のマインドを変えなくてはいけない」と提言。シルバーカーを押す人を見ても「あの人、歳取ったね」と言わないようでありたいし、世間の眼を気にせずに便利なカート等を使って、どんどん外に出て楽しむマインドを!」と話されました。

 

◆閉会:挨拶 実行委員会顧問 鎌田 実氏

                  (前実行委員長、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)

実行委員会顧問 鎌田 実氏(東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)から、閉会のご挨拶がありました。

「「移動」は手段かもしれませんが、移動を楽しくし、生活を楽しくしていくことは大事なことです。また、毎年増えているポスターセッションは毎回充実しており、今年は自動運転バスの実証実験を行っている中継等もありました。大変かもしれませんが、また来年も新しいことをしていきたいと思います。実行委員会で反省会を持ちつつ考えていきますので、よろしくお願いします」と述べられました。

 

【3】アンケートから(抜粋)

 

・さまざまな分野の方々と出逢うことができたこと、解決に向けたそれぞれの想いを知ることができ、自分たちの事業にも活かしていきたい。来年以降も、ぜひ毎年開催をお願いいたします。ありがとうございました。

・実際の利用者の感想が聞けるコーナーがあればと思います。

・初めて参加しました。愉しかった、楽しめました。皆様の熱い想いを感じられた。インターネットのデジタルではなく、アナログで人と人、顔と顔、face to faceの集まりは大事。

・非常に幅広い分野の方が集まり、意見交換ができてとても参考になりました。また、地域交通の課題に対して、「愉しむ」ことの創出や「IT」の活用といったさまざまな角度からのアプローチを聴けて良かったです。

・他にはないフォーラムで、とても勉強になります。国交省、厚労省が共に後援という立場だからこその内容だと感じました。本当に事務局の方々にはお礼申し上げると共に、参加している人の意識や熱意が高く、刺激が極めて多い2日間でした。

・参加者に対して会場は広くないが、参加者間、会場全体の一体感があり、これはこのままで良いと感じた。

ある取り組みに対して継続的に報告を知りたい。失敗要因(うまくいかなくなった要因)を含めて、国交省、厚労省の「本音」を聴きたい。

 

 

◆2日間、全国からご参加いただき ありがとうございました。

撮影:くらしの足をみんなで考える全国フォーラム実行委員会

   ((公財)交通エコロジー・モビリティ財団、NPO法人せたがや移動ケア)

 

全国フォーラム2019チラシ
190803_全国フォーラム修正チラシ.pdf
PDFファイル 509.3 KB
ポスターセッション参加方法の説明
20190819_PS参加方法_v01.pdf
PDFファイル 120.0 KB