「くらしの足をみんなで考える全国フォーラム2013」

2013年11月24日(日)、「くらしの足をみんなで考える全国フォーラム 2013」(主催:くらしの足をみんなで考える全国フォーラム実行委員会。後援:国土交通省、厚生労働省、全国社会福祉協議会、交通エコロジー・モビリティ財団、日本バス協会、全国ハイヤー・タクシー連合会、全国福祉輸送サービス協会、全国移動サービスネットワーク、市民福祉団体全国協議会、東京交通新聞社)が、東京大学本郷キャンパス工学部2号館(東京都文京区)で開催されました。

参加者は、過疎地域や被災地、都市部など、全国各地で起きている「くらしの足確保」の問題を抱えている当事者、行政、社協職員、福祉・介護・医療従事者、研究者、バス・タクシー事業者、NPO関係者等、さまざまな職業・立場の方々。その数は昨年の「全国フォーラム」参加者数を上回る214名となり、年を重ねるごとに深まる「くらしの足確保への熱い想い」を感じるものとなりました。また、マスコミ関係者の姿も多く見られ、国会で審議中の交通政策基本法案も関連しての「全国フォーラム」への関心の深さをかいまみました。

今年度の「くらしの足をみんなで考える全国フォーラム 2013」の主な特徴として、①実行委員会(実行委員長:鎌田 実氏・東京大学教授)メンバーの層がより厚くなったこと。②バス・タクシー関係者の取り組みが多く紹介されたこと。③新たな企画としてポスターセッションが開かれたこと、があげられます。 また、鎌田実行委員長は参加者へ配布された資料の「開催に向けて」のなかで、「人口減の超高齢社会に向けては、国の制度なども見直していく必要があります。交通基本法などの議論も進められておりますが、より良い制度設計に向けて、皆で議論し、提案していけるようにしていきませんか」と呼びかけました。

 「くらしの足確保」のヒントをさぐって、熱い発表や報告、真剣な意見交換で白熱した3つの会場。参加者一人ひとりの情熱によって充実した一日となりました。 このフォーラムのコンセプトは、「(フォーラムを)継続的に開催し、移動の問題を共有する者たちが『集まる場』として育てていきたい」というものです。会場にお越しくださった皆様に御礼を申し上げると共に、またお会いできる日を楽しみにしています。ありがとうございました。

●プログラム

【全体会(午前)】

□主催者・来賓ご挨拶

 鎌田実行委員長から開会の挨拶として、「公共交通だけではなく、新しい車両をうまく使って、どう地域の足を確保していくのか? ぜひ今日のフォーラムで皆様と話し合っていきたい」と呼びかけがあった。
次に来賓として二村 博三氏(㈱東京交通新聞社 取締役会長)から、「今日このような会が開催されることに感激・感謝している。ぜひこのような話し合いを続けて、このフォーラムをより全国規模の会にしていただきたい」とご挨拶の言葉をいただいた。

                 鎌田 実 実行委員長(東京大学教授)

                 二村 博三氏(㈱東京交通新聞社 取締役会長)

                 篠原俊正 監事(㈱ハートフルタクシー)

                                 (写真左より)

□基調講演

基調講演1「おでかけを守る交通戦略のツボ」  吉田 樹氏(福島大学准教授)

「公共交通づくりは『おでかけ』の機会を広げる投資であり、『カタチ』ではなく、『しくみ』から創ることが大事。また、現場起点で公共交通の『存在感』を高める改善を図りたい」と発表。 また、人と人の関係をいかに築けるか。「提案力」を高めること、「突破力」が必要であることなどを訴えた。

基調講演2「地域公共交通の課題について」 藤井直樹氏(国土交通省公共交通政策部長)

「交通のみにとどまらず地域全体の問題であるととらえて考えていく必要がある。地域公共交通は一朝一夕にはいかないと思うが、持続と可能性を意識して、関係者が力を合わせて頑張っていただきたい」と述べた。

【ポスターセッション】

今回から新たな企画として「ポスターセッション」が行われた。

出展団体は28団体となり、2部屋に分かれてそれぞれに日頃の活動や取組事例について報告・発表。参加者と出展者との活発なやりとりが印象に残る時間となった。

【テーマ別セッション】

第1テーマ「くらしの足を支える新しいサービス」
(座長:宮崎耕輔氏・香川高等専門学校/アドバイザー:篠原俊正 担当委員・㈱ハートフルタクシー)

・目的:

利用者に歓迎されているくらしの足を支える新しいサービスを紹介し、その評価と水平展開の課題と意味を考え、意見交換した。
・パネリスト:

岩村龍一氏(㈱コミュニティタクシー社長)

 「㈱コミュニティタクシーの取組」

及川 孝氏(全国子育てタクシー協会会長)

 「全国に広げたい子育てタクシー」

 (写真左より)

第2テーマ「過疎地、被災地のくらしの足」
(座長:鳩山紀一郎氏・東京大学/アドバイザー:吉田 樹 担当委員・福島大学)

・目的:

過疎地、被災地のくらしの足を支える取組を紹介し、その評価と水平展開の課題と意味を考え、質疑応答が行われた。

 ・パネリスト:

道見茂美氏(大正交通㈲社長)

 「農村部デマンド型乗合タクシーについて」

石井重成氏(釜石市復興推進本部事務局)

 「被災地のくらしの足を考える~岩手県釜石市の取組み~」

西嶋久勝氏(舞鶴市企画管理部企画政策課長)

 「地域による自主運行バスの取り組み」

 (写真上段左より)

第3テーマ「くらしの足を広げる制度や施策」

(座長:大井尚司氏・大分大学/アドバイザー:河崎民子 担当委員・NPO法人全国移動サービスネットワーク)

・目的:

くらしの足を広げる制度や施策、行政の役割を紹介し、その評価と水平展開の課題と意味を考え、意見交換した。

・パネリスト:

村上強志氏

(奈良県県土マネジメント部次長・交通政策担当)

 「奈良県における今後の地域交通のあり方について」

若菜千穂氏(NPO法人いわて地域づくり支援センター)

 「公共交通における市町村の苦悩と“みんなでつくる公共交通”のススメ」

嶌田紀之氏(千葉県南房総市総務課)

 「地域公共交通会議の活かし方(基礎自治体の取組)」

 (写真上段左より)

【全体会(午後)】

□報告、等

午後の全体会では、テーマ別セッションのそれぞれの座長が登壇。
各部屋で展開された発表・話し合いについて要約の後、座長としての意見や考えをそれぞれ報告した。

 

まず、第1テーマ「くらしの足を支える新しいサービス」について宮崎座長は、

「心のバリアをどうするか? アンケートなどではぜったいに出てこない声、ニーズ、移動に関するニーズをどう引き出して来るかがポイントだと思った。そこを一緒に考えて新しい試みを行って行こうという話し合いになった」と報告。

 

第2テーマ「過疎地、被災地のくらしの足」について鳩山座長は、

「金ではなく、力をいかに注ぐか。そして、力を注ぐだけでなく、行政と住民の間でその仕組みをつくることが大事。またコミュニケーション空間としてのバスあるいはタクシーという意識が成功への秘訣かもしれない」とコミュニケーションの重要性について報告した。

 

第3テーマ「くらしの足を広げる制度や施策」について大井座長は、

「『戦略、戦術』が大きなキーワードとなった。戦略とは何か、戦術とは何か? また、人が大事であり、その人をどうやって育てていくか。サポートをどうやっていくか。日々どうやって食べて行くか。これらの議論の過程において、現場を見る。数字を見る。数字を“見える化”することが大事だと思った。最後に、制度を使うことでどういううまみがあるかを認知する仕掛けが必要という話になった」と報告した。

・第1テーマ
「くらしの足を支える新しいサービス」座長:宮崎耕輔氏(香川高等専門学校) 

・第2テーマ

「過疎地、被災地のくらしの足」座長:鳩山紀一郎氏(東京大学)

・第3テーマ
「くらしの足を広げる制度や施策」座長:大井尚司氏(大分大学) 
清水弘子 監事(NPO法人 かながわ福祉移動サービスネットワーク)

(写真左より)

つづく白熱討論の時間では、鎌田実行委員長のコーディネートにより三者の意見交換が行われた。

まず小嶋光信氏(地域公共交通総合研究所理事、両備グループ代表・CEO)が「地域交通の再生とまちづくり」について発表。「国民が本気で移動の問題を考えなくてはいけない時期になってきたことを実感している」と述べた。

次に加藤博和副実行委員長(名古屋大学准教授)が「そもそも必要な公共交通とはどのようなもので、どのように支えていけばいいかについて、地域でまともに話し合ったことがないのでは?」と問題提起。「公共交通確保維持改善 5つの鉄則」を発表し、会場内から共感の拍手を得た。

また、鎌田実行委員長の「今後、どのようなゴールをめざしていくか?」という質問に対して加藤副実行委員長は、「事業者もやる気を出さなくてはいけない。勉強会で終わるのではなく、問題解決のために行動しませんか? 今日のこの会は“行動するための勉強会”だと思う」と提案。

続いて小嶋氏が「これからどういう日本をつくっていくのか。心豊かな日本をつくりましょう」と、「移動の問題」と積極的にかかわり、本音で語り合っていくことが日本全体にとって重要であると呼びかけた。

小嶋光信氏

(地域公共交通総合研究所理事、両備グループ代表・CEO)
加藤博和氏(名古屋大学准教授)
鎌田 実氏(東京大学教授)
 (写真左より)

□全体のまとめ、閉会の挨拶

全体会の最後に副実行委員長の加藤博和氏から、まとめおよび閉会の挨拶。「だれでもたのしく『おでかけ』できることを当たり前とする公共交通を自分たちで『つくり』『守り』『育てる』ことこそ本流では?」と提案した。
 また、「閉塞した住民・地域に公共交通と地域づくりを提案し、巻き込み提案することこそが、地域、日本を救うきっかけになる」と力強く発言。会場は熱い想いを分かち合い、閉会となった。

●懇親会から

●参加者の声

(アンケートから一部抜粋。ご記入ありがとうございました)

・時間と場所がもう少しあればもっと深い議論ができたと思います。このメンバーでもう一度実施して欲しいと思いました。(テーマ別セッション)
・地域に交通網を策定していく基本やポイントについて話をうかがえるとありがたいです。(その他)

・スペースが少し狭くて、移動に不便でした。できれば発表作品をHPに載せていただくなどしていただくとありがたいです(カラー版ができれば、ほしいです)。(ポスターセッション)

 

●ポスターセッションの申込一覧

ポスターセッションの申込一覧(2013年11月9日現在)  
団体名称 タイトル 概要
(株)システムオリジン 地域共同配車センター構想 タクシー利用者の多様化とこれにワンストップで対応できるメニューとサービス提供の構想
大正交通(有) (帯広市のくらしの足) (大正交通が提供する過疎地域のタクシーサービスについて)
NPO日本トラベルヘルパー(外出支援専門員)協会 「域内」から「いきがい」を運ぶ外出支援サービス 公的介護保険制度の地域包括ケアシステムでは、日常生活(30分でかけつけられる)圏域における介護、医療、予防、住まい、生活支援等が制度サービスとして提供されている。しかし、要介護高齢者の生活領域としては、お墓参りや一時帰宅など、こうした圏域を越えた場所への移動にも強いニーズがあるが制度としての対応はされていない。そこで、医療・介護制度と関わりの深い福祉分野における外出支援サービスを中心とした高齢者等の要望に応える環境を構築することで、当事者のQOL向上、介護予防、介護家族へ心のケアなど、超高齢社会において地域のQOL向上へつながるまちづくりを試みた。
公益財団法人 豊田都市交通研究所 (公財)豊田都市交通研究所の取り組み 豊田都市交通研究所では、豊田市をフィールドとして交通に関する様々な研究を行ってきました。今回は、当研究所の取り組みのうち、公共交通に関する研究と高齢者・障がい者の移動に関する研究を中心に紹介します。
一般社団法人 厚木ぐるっと ぐるっとgooletto 地域のお!足す 森の里ぐるっと事業は2009年に厚木市の市民協働事業に提案し採択された事業です。行政案と団体案の相違点を話し合いで解決し、厚木市の地域住民乗合交通として2011年10月10日より実証運行を開始しました。2013年10月で2年が経過し、この活動の変化点と課題を示します。携帯パソコンでHPも紹介します。
一般財団法人 地域公共交通総合研究所 地域公共交通研究所の役割 世の中で公共交通を民間に任せきった国は無く、日本はガラパゴス状態にある。両備GRでは地域づくりの観点から公共交通を救う実証を、津エアポートライン、和歌山電鉄、中国バス、井・鉄道等、多くの再生を手掛けてきた。これらの再生の実績に裏付けられたノウハウや実データによる実務家と先端を行かれる指揮者の協働で、公共交通を守り、元気な街づくりにつなげるもの。
国土交通省総合政策局公共交通政策部 地域公共交通に関する情報提供 地域公共交通に関する様々な情報を掲載した「地域公共交通支援センター」ホームページの説明を中心に、国土交通省が取り組む情報発信ツールを紹介します。
NPO法人全国移動サービスネットワーク 事務権限の移譲(自家用有償運送) (福祉有償運送を中心とする)自家用有償旅客運送の委譲について(・これまでの経過、・いま議論されていること、・移譲にあたっての課題
NPO法人せたがや移動ケア 世田谷区福祉移動支援センターの活動紹介 センター(そとでる)が実施している配車、相談、担い手の育成、外出支援活動などを紹介する。
神奈川W.CO 行きたい時に行きたいところへ「もっと自由にでかけたい!」 移動サービス(福祉有償運送)とは? 活動のアピール
東京大学大学院新領域創成科学研究科人間環境学専攻産業環境分野 大和研究室 超高齢化社会におけるオンデマンド交通 東京大学で開発したオンデマンド交通の展開と各地での代表的な取組について説明する。(導入効果、見えてきた課題)
豊田通商株式会社 HEV事業推進部インフラ・モビリティG 超小型EV“コムス”シェアリングシステム 取り回し便利(超小型)で排気ガスの出ない(電気自動車)
“コムス”を共同で使用(シェアリング)するシステムの紹介
  ・システムの概要(安心して借りれるシステム)
  ・用途事例  等
順風路(株) くらしの足として根付くデマンド交通システム(仮題) 東京大学との共同研究により生まれたオンデマンド交通システムは、研究段階を経てくらしの足として根付き始めています。今回は多様な要望を受け入れ実用化が進む東大オンデマンド交通システムを実例で紹介いたします。
(有)三ヶ森タクシー タクシー運賃考 1、タクシー運賃はいくらまで下げられるか?
2、時間制運賃のおかしな点
3、割引き運賃のありかたとタクシー定期券
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毎年のダイヤ改善による複数年のPDCAサイクルの継続的実施により、人口減少時代においても利用者数を増加させてきた事例などについて紹介する。
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くらしの足を考える全国フォーラム2017チラシ
0803tirasi_combine.pdf
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