「くらしの足をみんなで考える全国フォーラム2016」

2016年10月29日(土)、30日(日)の2日間にわたって「くらしの足をみんなで考える全国フォーラム2016」が開催されました。

今年で5回目の開催となった本フォーラムですが、全国各地から約300名を超える方々にご参加いただきました。厚く御礼申し上げます。 

◆日時:2016年10月29日(土) 13:15 ~ 30日(日) 16:30

 

◆場所:東洋大学白山キャンパス(東京都文京区白山 5-28-20)

 

◆主催:くらしの足をみんなで考える全国フォーラム実行委員会 

・実行委員長 :岡村 敏之(東洋大学教授)

・副実行委員長:加藤 博和(名古屋大学准教授)

 

◆共催:(公財)交通エコロジー・モビリティ財団

 

◆後援:国土交通省、厚生労働省、(社福)全国社会福祉協議会、東洋大学国際共生社会研究センター、名古屋大学大学院環境学研究科附属持続的共発展教育研究センター、(一社)日本民営鉄道協会、(公社)日本バス協会、(一社)全国ハイヤー・タクシー連合会、(一社)全国個人タクシー協会、(一社)全国福祉輸送サービス協会、全国交通運輸労働組合総連合、日本私鉄労働組合総連合会、(一社)全国子育てタクシー協会、(特非)市民福祉団体全国協議会、(特非)DPI日本会議、(特非)全国移動サービスネットワーク

 

◆協力:東洋大学

 

◆メディアパートナー:(株)東京交通新聞社

【1】「くらしの足をみんなで考える全国フォーラム2016」について

 

今年のフォーラムは、それぞれの地域で「くらしの足」の問題解決に取り組む「実践」の流れを大きくしていくことに重点を置きました。そのため今回は全国で既に「実践」に踏み出した方々から事例やアイディアを多数積極的にご発表いただき、これから「実践」しようとする聴講者も併せて意見交換ができるように、ポスターセッションの時間を拡大して、「くらしの足」の問題を掘り下げて考え、仲間を増やす中で「実践」へのきっかけをつかんでいただくことを期待しての開催となりました。

5回目の開催となった今回のフォーラム2016では、1日目に「くらしの足概論」「事例紹介セミナー」「グループディスカッション」を実施、2日目に「基調討論・対談」「白熱討論」「取組紹介」(ポスターセッション)を行ないました。特に、さらなる深みのあるコミュニケーションの場をめざした「取組紹介」(ポスターセッション)は、紹介者(62団体)と参加者が存分に対話できる時間やスペースづくりを意識して設定いたしました。

その想いは、本フォーラムのサブタイトルとして掲げさせていただいた、

「移動の問題」を本音で語り合おう、知り合おう、そして現場で元気に動き出そう

にも込められています。地域や立場を越えて開催された本フォーラム2日間のダイジェストをお送りします。

▲想いを込めて。実行委員、関係者全員で開催前の打ち合わせや準備

【2】プログラム

■第1日目 10月29日(土):

 くらしの足概論、事例紹介セミナー、グループディスカッション 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▲1日目・受付

 

●開会:主催、来賓挨拶

▲フォーラム1日目の開会挨拶

(左)岡村 敏之氏(実行委員長、東洋大学国際地域学部教授)

(右)全体司会・篠原 俊正氏(実行委員会事務局、(株)ハートフルタクシー副社長)

 

●くらしの足概論:現場で元気に動き出すための くらしの足概論

加藤 博和氏(副実行委員長、地域公共交通プロデューサー、名古屋大学大学院環境学研究科准教授) 

加藤氏が全国から集めた貴重な事例が多数紹介され、公共交通空白地有償運送の事例等を通じて「地域と事業者の距離の遠さ」などの問題点が示されました。

                   ▲加藤博和氏講演より

 

また、参加者は「地域のおでかけの足をどう確保するかについて、今日・明日で考えていただきたい」「おでかけが自由にできない社会は、本当に健全だろうか?」という加藤氏の呼びかけにより、フォーラム開催の2日間で知識をしっかり蓄え、全員で「つくり・守り・育てる」“行動”をめざすことを確認しました。

 

●事例紹介セミナー:地域を元気に 「くらし」と「足」の上手なつきあい方とは

中山間地域を支える公共交通について:景山 亨弘氏(鳥取県日野町長)

柏原三丁目の取り組み~路線バス乗り入れとバス友の誕生:宮崎 泰氏

(西日本鉄道株式会社自動車事業本部営業部西営業課長)

話題提供 地域を元気に「くらし」と「足」の上手なつきあい方とは:大井 尚司氏

(実行委員、大分大学経済学部准教授)

29日、2つ目のプログラムとなる「事例紹介セミナー」では3人の登壇者を講師とし、事例(話題)をご紹介いただきました。

 

この事例紹介は、その後のプログラムである「グループディスカッション」につながる重要なポイントが散りばめられており、参加者は熱心に耳を傾けていました。

 

(左)大井 尚司氏(実行委員、大分大学経済学部准教授)

(中)景山 亨弘氏(鳥取県日野町長)

(右)宮崎 泰氏(西日本鉄道株式会社自動車事業本部営業部西営業課長)

 

はじめにお話しされた大井氏は、「WHO(世界保健機構)」の「アクティブ・エイジング」・プログラムをご紹介。「高齢者にやさしい都市」の実現チェックリスト(15項目)について説明されました。

また、プログラムでは社会活動全体との関連で交通の重要性があげられており、①福祉や社会参加など、社会全体の活動との関係での地域交通の重要性、②交通に関わる各主体の役割の重要性が示されていることを述べられました。さらに、「くらし」の何を満たすことをめざすのか、その過程で「資源」「手段」の使い方、組み合わせ方が重要である、と話されました。

 

次にご登壇の景山氏は、タクシー助成制度(ご利用者への料金補助)についてご紹介されました。助成の対象となる方(身体障害者手帳をお持ちの方、自動車の運転ができない75歳以上の方、等の条件を満たした対象者)や「日野町タクシー利用助成券」など“制度”について話され、これらの制度の導入により「タクシーは気軽な移動手段」という意識がご利用者に生まれたと述べられました。

また、福祉タクシー車両の購入にあたって、「ふるさと納税基金」を使って事業者に補助金を交付した事例なども紹介されました。

 

最後にお話しされた宮崎氏は、福岡市南区柏原三丁目の取り組み事例をご紹介され、バスの乗り入れが困難な地区に大型路線バスが乗り入れるようになった成功の陰に「地域住民の熱意」があったことを話されました。

さらに成功の三要素として、①地元の熱意と力強い実行力、②現実的な計画、③共通の理解をあげられ、「バス友」(「地域の足を守ろう」という情熱が、まちづくり・コミュニティ形成にも波及した)」の誕生について話されました。

 

●グループディスカッション:自己紹介、フリーディスカッション、「まとめ」発表

1日目の最後のプログラムである「グループディスカッション」は、事例紹介セミナーの話題提供や事例をふまえ、参加者が1グループ7~8人(計28グループ、6教室)に分かれて行われました。

それぞれのグループメンバーはあらかじめ分野や職業などが偏らないように構成されており、ファシリテーターは本フォーラムの実行委員、アドバイザー、協力者が務めさせていただきました。

参加者はそれぞれの立場から本音の意見を出しあい、くらしの足について活発な意見交換がもたれました。

●懇親会

プログラム終了後、懇親会が開催されました(東洋大学白山キャンパス・食堂)。

自由な場での参加者同士の情報交換、親睦の場が求められていることが出席者数に如実にあらわれていました。また、実行委員会、来賓からのご挨拶など、大変賑やかな時間となりました。

(左)岡村実行委員長

(中)清水実行委員

(右)藤井 直樹氏(国土交通省自動車局長)

 

■第2日目 10月30日(日):基調講演・対談、ポスターセッション、白熱討論 

▲2日目・受付

 

●開会:主催、来賓挨拶

▲フォーラム2日目の開会挨拶および趣旨説明(左:岡村実行委員長、右:篠原実行委員)

ショートスピーチ:松本 年弘氏(国土交通省総合政策局公共交通政策部長)

くらしの足の確保に関する地方公共団体への期待や、国土交通省のくらしの足確保のための活動への支援について述べられました。

 

 

 

 

 

●基調講演・対談:地域を元気にする「種」をくらしの足でカタチにする

吉田 樹氏(実行委員、福島大学経済経営学類准教授)

村瀬 茂高氏(WILLER ALLIANCE代表取締役社長)

2日目の最初のプログラムは、「基調講演・対談」 “地域を元気にする「種」をくらしの足でカタチにする”をテーマに、吉田氏、村瀬氏それぞれの講演が行われました。

吉田氏は、公共交通が陥っている「負のスパイラル」から脱するためには「おでかけのきっかけ」づくり(まちづくりとの連携)が重要と話され、八戸市の事例をあげられました。また、STS(福祉輸送)などの“小さな交通”についても触れ、そのようなニッチの対応は今後、重要性が増してくると話されました。交通政策やまちづくりには戦略と戦術があり、戦略があって初めて効果的な戦術が出てくること、そして、くらしの足をつくること・守ることについて、「できること」を考えていこうと呼びかけられました。

続く村瀬氏は「世界中の人に移動にバリューイノベーションを起こす」というWILLER GROUPの取り組みのなかから、主に「鉄道事業」の展開について話されました。

特に「鉄道事業によって地域を活性化していこう」という目標について述べられ、「大丹鉄まつり」や「写真コンクール」の開催、小学生を対象にした「新聞」の発行など、地域の住民たちと積極的に関わる工夫事例をご紹介されました。

 

●ポスターセッション

今年度のポスターセッション出展は、なんと62団体。そこで初めての試みとなったのが、ポスターセッション出展者の自己紹介です。先のプログラム「基調講演・対談」を終えられた吉田氏が進行役となり、会場の出展者たちに呼びかけ、一人ひとりが自己紹介、展示物の説明を行いました。

このような時間が設けられたことにより、参加者は目的の展示や知りたいことに迷いなく向かうことができました。

 

そして昼食をはさんで行われた、ポスターセッション。全国各地のくらしの足に関する実践、取り組みについて、さまざまな立場(地域住民、事業者、研究者、自治体、企業など)の出展62団体と参加者が会場でじかにやりとりを行ない、熱気あふれる(約)3時間となりました。

▲展示物は工夫をこらしたさまざまな印刷物や写真のほか、ロボット、車いすなど、バラエティーに富んでいました。

2016年ポスターセッション発表者一覧
★161026_PS2016出展者リスト.pdf
PDFファイル 322.6 KB

 

●白熱討論

野村 文吾氏(十勝バス株式会社代表取締役社長)

貞包 健一氏(有限会社三ヶ森タクシー代表取締役)

山田 和昭氏(若桜鉄道代表取締役社長)

コーディネーター:加藤 博和氏

(副実行委員長、地域公共交通プロデューサー、名古屋大学大学院環境学研究科准教授)

 

まずコーディネーターの加藤 博和氏から、まちづくりに貢献できる「くらしの足」ネットワーク(網)をどのように作ったら良いかのお話がありました。

(写真左から)

加藤 博和氏

野村 文吾氏

貞包 健一氏

山田 和昭氏

 

だれでも安心して暮らせる地域に欠かせないのは生活支援であり、「空白を埋める」から「暮らしていける」への変化が重要であること。また、だれでも楽しくお越しいただける地域には交流支援が重要で、「走っている」から「行きたくなる。住みたくなる」へ!

と、示されました。そして、公共交通網は「おでかけ」を通じた「ライフスタイルの提案」であると述べられました。

 

続いて3人の登壇者がご発表され、野村氏は「各家庭への個別訪問など、お客さま密着!で地域に貢献する十勝バスの取り組み」や「40年ぶりの利用者増加」の実例をあげ、危機的状況を乗り越えた実績を、

貞包氏は「タクシー定期券やスタンプカードなどのサービスで、元気な『くらしの足』をもっとつくりだす」懐かしくも新鮮な事例とその“元気のモト”についてご紹介、

山田氏は「SL走行社会実験」「定期観光列車」、「地域活性化装置としての若桜鉄道」などの話題づくりやユニークで多彩な事業展開について話されました。

 

最後に加藤氏が「皆さん、今日のポスターセッションのように、考えながら前に進みましょう。“カラを破れ。一歩前へ!”」と呼びかけ、お一人ずつ参加者に向けて「今後の活動について」メッセージを発信しました。

 

 

 

 

 

▼登壇者の皆様の力強いメッセージ

(写真左から)

山田氏、野村氏、貞包氏、加藤

 

●閉会

 

続いて、鎌田 実実行委員会顧問(東京大学大学院新領域創成科学研究科人間環境学専攻 教授)が、

「2日間、あっという間に終わった印象があります。今年はポスターセッションを重要視し、私自身も担当して充実した時間を過ごさせていただきました。また、5月に名古屋、8月に岡山、そして今回この東京で開催という“ホップ・ステップ・ジャンプ”で「くらしの足」問題へ取り組みました。

おかげさまで本フォーラムは5回目となりましたが、多くの皆様が話を聴くだけでなく、討論やポスターセッションでインタラクティブに出来たことをうれしく思います。来年も皆様のご期待にそえるように見直しや作戦を練りますので、どうぞよろしくお願いいたします」と話されました。

最後に、参加者に向けて投げかけられた「2日間、ご参加いただき、本当にありがとうございました」とお礼の言葉でフォーラムは閉会しました。

【3】アンケートから

・種々の立場の方がいらっしゃり、交通という切り口での議論が出来たこと、とても有意義でした。もっと多くの人を誘えばよかったと思いました。やるべきこと、やりたいことがたくさん出てきました。専門性を担保しつつも、子連れの参加、車イスでの参加も受け入れられる幅広さが両立できており、こうした場が非常に良いと思いました。来年も続けてください。

・ポスターセッションは「今いますボード」(発表者が常駐する時間)を作り、もっと自由に動けるようにしたらいいと思う。

・グループディスカッションは当日参加者のために「当日枠」を作り、飛び入り参加者もやりやすくしてほしかった。

・ポスター展がすごく面白かったです。ポスター展をして、顔なじみになってからのレセプション、という順番の方がベターだと思いました。

・刺激を受け、当事者の方から貴重な体験談をうかがえました。地方から出てきた甲斐がありました。この熱を持ち帰り、地元で広めたいと思います。

(写真撮影:くらしの足をみんなで考える全国フォーラム実行委員会事務局スタッフ)

2016年 関連セミナー

下記シンポジウムは終了いたしました。ご参加ありがとうございました。

 

一般財団法人 地域公共交通総合研究所 第4回シンポジウム

「地域の足を守り、元気なまちにするには今何をすべきか?」

 

◎日 時:2016年8月10日(水) 13:20~17:30(予定) ●12:30 受付開始/開場

◎資料代:1,000円

◎会 場:両備ビル8階大会議室

     岡山県岡山市北区錦町6番1号

◎定 員:130名(先着順)

 

お問合せ先:(一財)地域公共交通総合研究所 事務局(町田・三好)

      電     話:086-232-2110

      Eメール:info@chikoken.org

 

◆テーマ:
制度と政策の次は、技術力・工夫力・実行力

技術の先端と全国の好事例に学ぶ

 

◆プログラム(敬称略)

 

~第一部~ 基調講演&話題提供(13:20~14:55)

 開会挨拶:小嶋 光信(地域公共交通総合研究所 理事長)

 基調講演:大和 裕幸(国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 理事長)

 「地域公共交通を支える工夫~オンデマンドバスを例として~」

 話題提供:国土交通省総合政策局公共交通政策部

 「国土交通省から事例の紹介」

 

 ーーーーーーー 休憩15分 ーーーーーーー

 

~第二部~ 事例研究(15:10~16:40)

 1:「えちぜん鉄道発足と『福井』~住民の行動とその後の展開~」

   清水 省吾(NPO法人ふくい路面電車とまちづくりの会(ROBA)事務局長)

 2:「みんなでつくる公共交通と地域づくり~岩手の現場から~」

   若菜 千穂(NPO法人いわて地域づくり支援センター 常務理事)

 モデレーター:小嶋 光信

 

~第三部~ 特別講演(16:45~17:30)

 特別講演:家田 仁(政策研究大学院大学 教授)

 「震災と地域交通の復興~特に三陸地方にBRTを事例として~」

 

 

下記セミナーは終了いたしました。ご参加ありがとうございました。


セミナー「公共交通不便地域で『くらしの足』を地域自ら確保する方法」

 

◎開催日:平成28年5月16日(月) 10:00~17:00

◎場 所:名古屋大学東山キャンパスES総合館1階

     ESホール(地下鉄名城線名古屋大学駅徒歩3分)

◎主 催:名古屋大学大学院環境学研究科附属持続的共発展教育研究センター

 共 催:国土交通省中部運輸局

◎参加費:無料(どなたでも参加自由)

 

終了後、懇親会を予定(実費)

 

■詳細説明URL

  http://orient.genv.nagoya-u.ac.jp/kato/seminar.htm

 

参加申し込みURL

  https://docs.google.com/forms/d/1egQHAM9RdZtwPYLKRpaItaw6Xa11dUIDTVQpCx27PoQ/viewform?embedded=true

 

上記URLから申し込みができない場合

  seminar@urban.env.nagoya-u.ac.jpに必要事項をメールしてください。

 

くらしの足を考える全国フォーラム2017チラシ
0803tirasi_combine.pdf
PDFファイル 2.7 MB